ポラリス・ア・ラモード

インタビュー

保育士・インターナショナルスクール勤務 / 西田 佑紀さん「自分の笑顔の源泉“ワクワクすること”を大事にしたい」《後編》

haru

2019/08/09

インタビュー polaris for YOURSELF vol.9

保育士・インターナショナルスクール勤務 / 西田 佑紀さん

「自分の笑顔の源泉“ワクワクすること”を大事にしたい」《後編》

自分の生きる上での指針やポリシー、「ポラリス(=北極星)」を持つ人たちのインタビュー。

笑顔がめちゃくちゃ可愛い保育士さん西田 佑紀(ゆうき)さんにお越しいただきました。

前編では、自分らしさを素直に表現できず、いつも人に合わせて生きてしまっていた過去をどうやって乗り越えていったのかをお話ししてもらいました。勇気を持って大きな一歩を踏み出したゆうきちゃんはさらに輝きを放ちます。

そんな彼女は、保育所を辞め、なぜ今のインターナショナル・スクールに移ることになったのでしょう?

前編の最後に出てきた、サファイアさんとは?からお話を始めていきますね。

サファイアとの出会い

—-保育士として働く毎日の中で、サファイアさんという方との出会いがターニングポイントになったというお話がありましたが、この方は一体!?

ユニバーサルスタジオジャパンの「モンスター・ライブ・ロックンロール・ショー」というショーに、フランケンシュタインの花嫁ブライト役で出ていた役者さんです。実は彼女のショーが見たくて私はユニバに通ってたんです。

—-アトラクション目当てじゃなくて、サファイアさん目当てでUSJ通いしたんですね!

むちゃくちゃ歌がうまくて、ダンスが上手で。もう完全に虜でした!

実は、私の友人がそのショーの特殊メイクの仕事をしていたんですが、その友達から

自分の誕生日パーティをするから来てよ~と誘われて行ってみたらユニバのキャストさん達もたくさん来てました。

その中に…私の大好きなサファイアもいたんです!

私が彼女のショーが大好きで、歌も全部歌えるしダンスも全部踊れます!!!っていう自分の想いを全部伝えたかった。

でも…。英語力が1ミリもなかったから、I love you.しか言えなかったんです…。この時ばかりは勉強しておいたら良かった…ってとても後悔しました。ホント悔しかったです。

「サファイアと喋れるようになりたい。」「だから、英語を喋れるようになりたい。」そう思って、「留学しよう!」と思いました。

—-サファイアと喋りたいから留学!これと決めたら一直線だね。

でも、留学するにもお金もそんなになくて。そこでもう一度考えて、私は留学したっていう事実が欲しいんじゃなくて、

英語を話せるようになりたいだけなんだから、留学にはいかなくてもいいんじゃないか?」って気づいて、日本で英語で仕事をしようって思い直しました。

子どもたちとは離れたくたくて、自分を英語漬けの環境に置ける場所…と思って仕事を探している時に、今の勤務先であるインターを見つけたんです。

で、面接に行ってみたけど英語を全く話せない状態を見られて、どはっきり「無理です」と言われました。

でも、私は「いや、絶対働きます」と粘る(笑)。

そしたら、猶予3ヶ月。3ヶ月の間に英語ができるようにならなければ辞めてね。」と言われました。

「上等や、3ヶ月あったらいけるやろ」と思って、働き始めたんです。

良く考えたら、当初考えてた留学の3ヶ月と変わらない期間だったんですが、3ヶ月後に正式に社員として働かせてもらえることになりました。

—-すごい。それも、サファイアと話したい!って気持ちひとつで乗り越えられたんだね。

そう。自分が伝えたい想いを伝えたいって思ってました。通訳でなく、自分の言葉で。どれだけ拙くても自分の言葉で自分の想いを伝えたいってその一心だったんですね。

職場では、毎日本当に必死に目の前のことをやっていくって感じだったんですが、いつの間にか英語も話せるようになってきました。

その頃、Instagramでサファイアを見つけて!連絡したら私のことを覚えてくれていて。

彼女は今はNYに帰っていて、IKEAのCMに出たりとか、すごく活躍されているんです。

「サファイアと話したい!と思って始めた英語が、今自分の生活の軸になっていて、海外に行ってもいろんな友達ができて旅先でも困らなくなって。サファイアのおかげで私の人生が変わったよ!」ってついに自分の想いを英語で伝えたら、ぜひNYに遊びにきてねって言ってもらいました。

めちゃくちゃ嬉しかったです。来年には遊びに行きたいです。

—-うん、いい。念願が叶った瞬間だね。

サファイアさんと、ゆうきちゃん。すごくいい写真❤️

そして、今のインターについて

 —-今のインターナショナルスクールで働いてどうですか?そして、どんなスクールですか。

めちゃくちゃ楽しい!しかない(笑)先生たちのモチベーションや人間力の高さが本当にすごいです。

常にfor youの気持ちで生きていて、子どもたちや同僚のことを常に考えています

日本人の先生は3人くらいで、外国人の先生がほとんどです。子どもたちは日本人の子が圧倒的に多いですが、時々ハーフの子もいるし、ネイティブの子もいます。2歳から5歳の子どもたちです。全員が英語で話してます。

—-特に影響を受けたり、仲が良かった先生はいますか。

もう辞めちゃった先生なんですが、インド出身のネイニーさん。ネイニーがいなかったら、続けられてなかったんじゃないかと思うくらい、支えてもらいました。

一緒に働いていた当時、彼女は妊婦さんで、ぎりぎりまで働いていたんですが、身体もしんどくて国に帰りました。その後は旦那さんの都合でアメリカに移ったということを聞いて、その後も連絡を取り合っていた中でも、ずっとアメリカにいるものと思っていたんですが…。

—その後、彼女には会えた?

はい!会えました。それがまた、すごいタイミングやきっかけだったんです(笑)経緯もお話しますね。

組体操の「ナイアガラの滝」。本物がどうしても見たくてカナダまで行ってきた。

私の周りには旅をする人たちが沢山いるので、その影響で私もバックパッカーの旅に行きたいと思ってたんですね

GWにどこかに出かけようと思った時に、行き先はカナダにしました。

小学6年生の運動会の組体操は「世界遺産を表現する」というテーマだったんですが、

私は「ナイアガラの滝」をやりました。

それ以降、ずっと本物のナイアガラの滝が見たかったんです(笑)

そうしてカナダへ行くことを決めて、チケットをとった次の日にネイニーから久しぶりに連絡がきました

「元気にしてる〜?」って何気ない感じで。そっちの生活はどう〜?」って聞いたら、

「カナダはね〜不便なこともあるよ〜」って…カナダ!?ってびっくりして。

カナダのどこにいるの?って聞いたら、私が行こうとしてた場所から車で二時間くらいのところに住んでいたことが分かりました。

ナイアガラの滝に行きたいことも話したら、一緒に行く?って言ってくれて。

カナダ滞在の最終日に彼女と一緒にナイアガラの滝も見ることができました!

カナダに行って改めて気づいた、自分がほんとに大事で、ワクワクすること

—-すごいね…!!ゆうきちゃんの人生は、ミラクルが多くて目が回りそう(笑)カナダに行ってみて、気づいたことはある?

カナダに行っても、やっぱり子どもに関わることがしたいと思い、ネイニーの助けもあって、向こうのインターナショナルスクールでボランティアで子どもたちや保護者の方々とアクティビティをご一緒することができたんです。

ネイニーと会えたの勿論とても楽しかったし嬉しかったけど、カナダ滞在の一週間で一番笑ったのはインターで子どもたちと過ごした時間でした。

母の日のクラフトを一緒に作って、お母さんのどんなところが好き?」と聞いたら、

マミーのお歌が好き」とか「ダンスが好き」とか子どもたちが教えてくれて。

それを聞くのがめちゃ楽しくて肌の色も髪の色も目の色もみんな違う子どもたちで、カナダの子もいれば、

フランスの子もいれば、タンザニアの子もいました。

いろんなバックグラウンドだけど年齢が同じ子が一緒の場にいました。

自分がそういう場にいた時に、すごくピースな感じがして

テンションがあがって、心からワクワクしました。

そこで改めて、「ああ、これこれ」って思いました。

自分の笑顔の根源が、《子どもとの関わりや人との関わり》なんだなっていうのを改めて気づいた感じです。

日本で現場に立っていても分かってたはずだったんだけど、カナダに行って、それに改めて気づいた感じですね。

—-海外に行ったけど、日本にいる時と自分の笑顔の根源は何一つ変わらないことに気づいた。すごくいい話です。にしても、きっかけが組体操のナイアガラの滝」だなんて(笑)きっかけはどこに転がっているか分からないね。

めちゃくちゃシャイなタンザニアの男の子が帰り際に、遊んでくれてありがとうってプレゼントしてくれたクラフト。

ゆうきちゃんがこれからやりたいこと

—-ゆうきちゃんはこれからどんなことをしていきたい?

子どもに関わることはこれからもずっと続けます。子どもたちが笑顔になっているといことは大前提なので、

子どもたちが大人の都合に振り回されないようにしていきたいですね。

子どもが笑顔になってくれるのであれば、正直なところ、そのツールは保育でなくても良いと思っているんです。子どもたちが笑っていない未来は私はもう絶対に違うと思っています。

その子たちがこれからを生きていくのに、その子たちがワクワクしている人生じゃなかったり、触れるものがワクワクするものじゃないのはだめだと思っています。そういうものは私たち大人がもっと与えてあげられるものだと思うんです。

そして、その一番最前線に立っているのは、保育士さん・幼稚園の先生たちだから、その先生たちがワクワクするとか、その先生たちが楽しんで保育できるために、何かできることはないかと考えています。

—-保育士の先生たちって今、どんな状況があるの?

こないだの大津市の事件があって、保育の現場ってさらにもうピリピリするようになってしまって、

公園に行く時も申請がいるとか厳しくなっていて。事故がないようにとみんな徹底してもちろんやってはいるんですが…。

そうして命を扱っている現場なのに、給与は全然充実していないです。

私も保育士になって初任給が13万円だったんですよ。

週6で8時から20時まで働いて、家に帰ってから製作の準備をしたりお便りを作ったりするのにですね。公立はもうちょっとお給料も高いけど、やっぱり私立の先生は低いままですね…。あと、幼稚園の先生と保育園の先生でも給与は違って、保育園の先生の方がかなり低いです。加えて、幼稚園の先生はまだ休みがあるけど、保育園の先生は休みもかなり少ないです。

—-そういう環境もあって、最初は「子どもたちのために」と思って仕事に就いた先生でも辞めちゃったりする人も多いのかな

圧倒的に多い。やっぱり、家族がある人だと養えないとかもあるし、体力的にも大変だし。

メンタル的にしんどくなってるお母さんのケアとか、先生たちどうしの人間関係で壊れてしまう先生もかなり多くて

私はよく思うんですが、保育士さんたちって誰に相談しているんだろう?って。

相談できていないのが、保育士さんがしんどくなっていくひとつの原因なんじゃないかと考えています。

—-相談する場所がないのかな。

場所がないし、現場の先生・先輩に相談したら、他の先生にもそれが筒抜けになったりとか。そんな先生が保育をしないでよって思うくらい、小学生のいじめみたいなことも現場で起きてたりする。

保育士になりたくて念願が叶って保育士になれたのに、思っている保育ができなかったり、行事に追われすぎてしまったり。

お母さんたちが求める保育をしなきゃと思いすぎてしまったりとか

発表会をうまく進めるための準備をとにかしてしまったりするけどその準備の時間は本当に必要なのか

その時間を子どもたちと遊ぶ時間・癒しの時間に充てた方がいいんじゃないかと思うし、先生たちももっと休んでって思います。

—-どんなことが問題だと思っていて、そういった現状をどうしていきたい?

保育士さんが他の園の保育士さんと関われる場所がないことがひとつの問題なんじゃないかなと思っています。

自分も保育園で働いていた時、他の園の保育士さんと話せる機会なんてなかったです。

他の園の保育を見せてもらうことや運動会にお邪魔するようなことが、暗黙の了解でNGだったりするんですよね。

視察にしているというのが探り合いっぽい感じになってしまう。

でも、小さい範囲で見たら、A園・B園だけど、大きいくくりでみたら大阪の園、もっと大きいくくりで見たら、

日本の子どもたちを日本の保育園の先生たちが支えているという意識を持つことができると思います。

いいところはお互いに真似して、悩みも共有して解決していけばいいと思うんですよね。

保育園や幼稚園の先生たちが、大きい悩みでなくても、自分のちょっとした悩みやメンタルが落ちていることとかを相談できる場所があれば、そのしんどさや焦りが子どもたちに伝わって子どもたちが荒れるみたいなこともふせげると思うので

先生たちをケアできて、ちょっとした悩みや不安を共有できるような場所があったらいいと思っているんです。

日曜日のお昼にちょっとみんなでヨガをしたり、カフェしたりして

ただ愚痴を言い合うのではなくて、来週またがんばっていけるように励まし合うような場所づくりがしたいなと思ってます。

とにかく、先生たちが現場をもっと楽しんでほしいと思う!いい保育って何なのかはわからないけど、

先生がめっちゃ楽しそうにしてるだけで子どもたちはとても嬉しいんです。

—-先生たちがワクワクしていることが子どもたちにも伝わって、子どもたちもワクワクする。いいね。

そうなんですよね。ワクワクすることはとても大事だと思います。

私も、前の職場では寝る間も惜しんでお便りや衣装も作って…ってやっていたんですが

お便りを見たお母さんたちが子どもたちを褒めてくれて、子どもたちが嬉しくなるんだろうな〜とか、

子どもの姿を想像してワクワクして、楽しい今日のその子の様子をあれもこれも伝えたいけど、お便りのこの小さな枠に

何を書こうって悩んで(笑)、書いている時もワクワクします。

目の前の作業が、子どもたちの喜んでいる姿に繋がっているんですよね。

子どもたちにもどんどんワクワクしてもらいたいですね。

こないだ、お魚つくりの製作をしたんですが、みんなが群青色のお魚をつくるのはあんまりハッピーじゃないな思って、

「見たこともない、こんなお魚がいたらいいなって思うお魚をそれぞれつくってみよう!!」ということを子どもたちに話したんです。子どもたちの目が輝いていくのが分かりました。

それで魚つりゲームをしたんです。『魔法のマグネット』をつけて、『魚つり名人』を決める。

魔法とか、名人とかって、子どもたちにすごく来るワードなんです(笑)。

空想だったり、イマジネーションを膨らませて、もっと未来にワクワクしてほしいと思っています。

—-魚つりゲームをしながら超ワクワクのゆうきちゃんが目に見えるような気がします。子どもたちはもちろん、先生たちもワクワクすることが大事、とはいえ日々の仕事に忙殺されることもありますよね…。

そうですね。心にゆとりや余裕がないと、子どもたちや保護者、一緒に働いている先生たちにも気を回せなくなると思うけど、

本当にいい雰囲気を作りたいなら、まず自分にゆとりを持つことが大事だと思います。

私以上に現場が好きで子どもが好きだった元同僚も、ポリープができて辞めてしまったということもありました。

そんなもったいないことはなくなってほしいし、子どもが好きで一生懸命資格をとって現場に来たんだから、自分が納得して、もうやりきった!って思うまでやってほしい

たくさんの保育士さんが生き生きして働けるようにしたいです。私1人が全部の保育園や幼稚園を回っていくことはできないから、保育士さんたちを繋げていくということをしたいと思っています。

どういう形でやっていくのがベストか今はわからないけれど、まずはそういうところからはじめていきたいですね。

—-具体的にチャレンジしたいことはある?

教育カンファレンスは世の中にたくさんあるけど、保育カンファレンスはほとんど存在しないんです。だから、

保育の仕事をする方々を集めて意見交換ができるような、保育カンファレンスをやってみたいですね。

保育について語る場所があって、例えば「保護者会ってどう思いますか?」みたいな話題をざっくばらんに話していったりしたい。

今ある教育関係のカンファレンスは圧倒的に小中高以降の教育についてのものが多いんです。

その小中高での教育の原点を作っているのは、私たち保育士だと思う私たちの担当する5年間で人の話を聞く姿勢や、友達との集団行動の基礎の基礎ができていくんだから、私たち、結構いい仕事してると思う

だから「保育をやっているんです」と胸を張っていってほしいし、とても意味のある仕事をしているってことをもう一度思い直してほしい胸を張って、「この仕事、最高です。」と言ってほしい。それが子どもたちに伝わったら、子どもたち、本当にいい表情をするんです。

子どもたちがやりたいことを一生懸命やってて楽しそうにしていたら、きっと保護者の人も嬉しいと思うし、お母さんたちが先生に感謝して…ってなると本当にいい循環・いい空気が流れると思う。

あと、現場はもっと面白くていいと本当に思います。もちろん、命を預かっているからもちろん真面目に考える一方で、

カタすぎる感じじゃなくて、現場はもっと面白くて、もっと楽しんでパーリーな感じで(笑)

—-パーリーな感じで♪ いいね!

もちろんびしっと言うべき時はびしっと言って、でも楽しむ時には思いっきり楽しんで、歌おう♪とか、踊ろう♪とか。イエーイ!みたいになっていいと思う!

そんな風に保育に携わる人たちが仕事を心から楽しめるように、みんなで取り組んでいきたいです!

編集後記

めちゃくちゃ明るくて笑顔がキュートなゆうきちゃんのお話を聞いていると、私まで元気をもらいました!

保育の業界に対する想いの熱さと深さがすごく伝わりました。そして、いろんな状況はあるけど深刻になって暗くなっていくんじゃなくて、みんなで楽しんでいこう!という姿勢がとても印象的でした

ポラリス ア・ラ・モードのインタビューの第四回でお話を聞いた、原田 比呂己さんともコラボをして

助産師さん×保育士さんの合同ヨガイベントのようなものも企画予定ということです。

ゆうきちゃん、これからも、たくさんの人たちに笑顔とワクワクを届けてね♡