NPO法人Gift 代表理事 / 小山 真由美さん「みんなでしあわせになること」
2018/12/21
インタビュー polaris for YOURSELF vol.1
NPO法人Gift 代表理事/ 小山 真由美さん
「みんなでしあわせになること」
自分の生きる上での指針やポリシー、「ポラリス(=北極星)」を持つ人たちのインタビュー。
ポラリス ア・ラ・モード第一回のインタビューは、私の大親友でもあるmayuさんです。
mayuさんは、会計事務所に勤めながらNPO法人の代表理事も務められる、3 人の子どものお母さん!
いつもmayuさんとお話していたら元気がでます。そんなmayuさんの元気のヒミツを聞いていきましょう。
11月中旬。東京、広尾のカフェにて。
これまでのキャリアについて
haru: 2ヶ月くらい前かな、はじめてポラリスの話をさせてもらいました。そこから今まで、mayuさんにとってのポラリスってなんだろうって考えてもらってきましたが、これがご自身にとってのポラリスかな?と思うようなもの、見つかりましたか?
mayu: これがポラリス!というはっきりしたものが見つかったというよりは、改めて自分自身について見つめ直しました。私は、特に仕事をしているときがすごく充実してるなと思っています。もちろん、家族も子どもも大好きですが、仕事をしているときがとても好き。仕事をしながら人の役に立てることや、良い仕事ができた!と思えるときが最高に気持ちが良いです。
haru: mayuさんのこれまでのキャリア、教えて下さい。
mayu: もともとは高卒から公務員になりました。営利を目的としていない、人のためになる公務員ってすごく憧れてて。無事に希望していた国立大学で学部事務として働くことができました。学割を発行したり、先生の出張の旅費の計算などしていましたね。鉄道が好きなので、時刻表を見ているのがとてもたのしかったです(笑)でも、四年目になって、このままずっとというわけにもいかないなと思いました。将来もずっと働き続けられるように何か身につけたいなと思ったんです。道は二つと思い、会計か情報処理の道どちらかに行こうと思いました。当時は、多分今は情報処理系の人材は少ない!と思ってPCのインストラクターを目指しました。
haru: むむ。その時点ですごく先見の明があるなって感じがします。
mayu: (微笑んで)ありがとう。私立の短大の非常勤講師としてPCのインストラクターをしていましたが、結婚を機に(大阪から)東京にいくことになりました。その後は金融系のところでちょっとだけアルバイトをしましたが、すぐに妊娠がわかって。「ではいつ辞めますか。」みたいな話になって。私自身はすごく働きたかったのですが、継続して働くという道はそこにはなく辞めました。そして辞めて子どもが生まれるまでの間は、実は秋葉原のスクールに行って、C言語※を勉強しました。知識が衰えないように。※C言語=プログラミングの言語のこと
haru: おお。妊婦さんが秋葉原でC言語ですか!なかなかそれは珍しかったと思います。
mayu: そうですね。当時秋葉原に行ってパソコンを学ぶっていうのはかなりおたくでしたからね。しかも妊婦が(笑)長女が生まれてからは3年くらいは子育てに専念しました。その後次女も生まれ、その頃から再就職をしたいなって思いました。上の子が幼稚園に入るタイミングで下の子も入りたい!ということだったので、じゃあ二人預けて働けばいいやって。
haru: それはご主人は良いって?
mayu: すぐに良いって。夫は仕事が忙しくて、家事や育児は協力はできないよって言っていましたが、働くことには反対しないというそういう立場でした。
haru: …それだったら、結構な負担がmayuさんにあったんじゃないですか。
mayu: 確かにすごく大変ではあったんだけど、それでも仕事に戻ってとても楽しかった。再就職は、バブルがはじけた直後だったので苦労したんですが、パソコンが使えます!ということで雇ってくれるところがあって、情報処理会社に事務として入社して最終的にはプログラマーになりました。
haru: 秋葉原が効いた(笑)
mayu: 効きました(笑)その後、一番下の子が中学校に入る前まで、12年間。結構長く勤めました。そして自分が40歳、下の子が中学一年になって。これが転職のチャンスだ!と思いました。正直、ITでこのままずっとというのはきついなと思って、税理士の資格取得を目指すことにしました。次々と進歩の激しい時代でキャッチアップするのが難しくなってきたというのもあるんですが、2000年問題とかとても大変だったこともあって。年齢があがってきて、体力勝負がきつくなったのはありますね。税理士試験を1科目合格したタイミングで転職。現在の会計事務所で働くようになりました。
仕事以外でやり始めたNPO活動について
haru: 経営者のサポートなどをされているんですよね。でも、その仕事だけではなくてボランティア活動も始められた。
mayu: はい。自分の子どもの就活を見ていて、経営者の人たちはなかなか人が来ないって言っている一方、学生さんたちは働くところがないと言っていることがおかしいなと思いました。働きたいという人は、一体何を見て働くことを選択しているんだろうと考えてみると、結構表向きの条件だけを見ていたりして…。熱い思いを持っている経営者の人たちの話を聞く機会があれば良いんじゃないかと思い、「働くことを考えようプロジェクト」というプロジェクトを始めいろんなところで講演会やイベントを開催し対話の場を作っていきました。
haru: その時に私たちも出逢っています!なつかしいですね。そしてその後、現在代表理事をされているNPO法人Giftも始められることになったんですよね。
mayu: はい。「働くことを考えようプロジェクト」を通して知り合ったメンバーが声をかけてくれて。対話の場から、寄付というものについてもっと色々考えてやっていきたいという気持ちが芽生えました。NPO法Giftは、社会企業家たちの活動を寄付で応援するという活動をしています。ただ、寄付にこだわっているというよりも、何かをやりたい人がお金がないことで諦めてしまうのが嫌だなという気持ちがありました。難病の子どもたちを救う会をサポートしたり、災害時に被災地支援団体のサポートをしたりしてきました。活動をしていて分かったのは、寄付をしてくれたひとたちもすごく幸せな気持ちになってくれるということ。寄付の可能性を感じました。これからもずっとGiftの活動は続けていきたいですね。
仕事とプライベートを「融合」させる
haru: 会計事務所で仕事をしながら、NPO法人の代表理事もして、お子さんも三人いて、妻でもあり、娘でもある。すごく役割がたくさんありますよね。たぶんこれを読んでくださっている方の中にも、「色々やりたいのはやりたいけれど…どうやってやっていくんだろう。」と思っている方もおられると思うんです。いわゆる、「仕事とプライべート」どうやって両立しているのですか。
mayu: 「両立しよう」とすると、たぶんできないと思うんです。私は家の中もそこまでいつも綺麗に片付けているわけでもないし、そんなに一生懸命家事をやっているわけでもないけれど、仕事とプライベートを「両立」させるんじゃなくて「融合」させることが大事なのかなあと思います。
haru: バランスさせようとするのではなくて、融合する。
mayu: 実はいまの職場では、ばりばり正社員で働いているのではなくて、私が行ける時だけ行きますと言ってます。
haru: 行けるときだけ行きます…!(衝撃)
mayu: それは、そうさせてほしいとずっと言い続けていました。自分の活動についてもしっかり伝え続けました。その結果、ついにいまの働き方を認めてもらえたんですよ。仕事中にちょっと抜けてGIFTの活動をするなんてこともあります。
haru: なかなかそんなふうな感覚が持てない人も多いかもしれません。
mayu: たぶん、意外と自分が「そんなことを望んだり、言ったりしちゃだめだ!」と思い込んでしまっているだけのこともあると思うんですよね。言ってみたら意外と大丈夫ということもあるんですね。
mayuさんのポラリス。「みんなでしあわせになる」
haru: (すごい…。私も言ってみよう。)さて、今日はポラリスというテーマでお話しをしています。最初も、仕事をしているときの自分というお話が出ましたが、仕事をしたり活動をしたりする上での指針、大事にしていることはありますか。
mayu: 一番大事にしたいのは、活動や仕事をしていく上で自分だけが良ければ良いというふうにはなりたくないということです。たとえば、GIFTをしながら仕事に繋がりそうな人がいれば仕事の名刺を渡したりとか。みんながしあわせになれる状況を作っていくというのがとても大切だと思います。自分だけではなく、相手や周りも喜ぶようなことをやっていきたいなと考えています。
haru: 「みんながしあわせになる」というのは、もちろんmayuさんも入っている?
mayu: はい。自分もしあわせでありつつ。
haru: みんなでしあわせになる、自分も含めたみんなでしあわせになる状態にしたいというのが、mayuさんのポラリスに近いのかなって思いました。そこに向かって着実にやっていくという。昔からわりとこういうふうに考えていたのですか?
mayu: うん。昔からそうだったかも。お店に行って可愛いノートがあったら三冊買って妹と分けるとか。
haru: 何か大きなきっかけがあったというより、小さいときからそう思ってた。
mayu: 母親が、誰にでも親切にする人で。たとえばテレビとか見ていて私が「あの人きらい」とか言うと「会ったこともない人にきらいって言ったらだめだよ」と怒られたことがあって。実際にその人のことを何も知らないのに決めちゃいけないって言われたのがすごく記憶に残っていて。
haru: そうしたことってありますよね。ふとした一言だけど、すごく記憶に残っているような。
mayu: 母は言ったことも忘れているのかもしれないですが(笑)、とても印象に残っています。
mayuさんがこれからやりたいこと
haru: これから、mayuさんがやっていきたいことってなんですか。
mayu: Giftの活動を通して、寄付社会を作りたいですね。寄付社会と言ってもお金だけじゃなくて人に何かをしてあげる、人から受けた親切を素直に喜べる、お互いに分かち合える社会をつくっていきたいなと思っています。お金だけに限らず、モノでもいいし、これ使って。みたいにさりげなく言えたらいいなと思って。そういう世の中になれば、すごく暮らしやすくなると思っていて。
haru: カレーいっぱい作ってあまってるから、おとなりさんにあげる。みたいな、そういう感覚でいいってことですよね(笑)
mayu: そうそう。野菜たくさんもらったから、ちょっと食べて〜みたいな。それが当たり前に遠慮なくできる社会っていいなと思っていて。いまは、こういうことを言ったらあげる方も気にするし、受け取る方も気にするということがあると思うけれど、当たり前に出せて、そして受け取れるっていうのが理想だなって思います。
haru: 具体的にチャレンジしたいことはありますか。
mayu: Giftリレーというものをしていきたいですね。ごみを拾ったとか小さいことでも良いのですが、自分がした「良いこと」をSNSにハッシュタグ #Giftリレー と書いていただき投稿してもらって。それを目にした方が、自分も良いことをしてみようかなという気持ちになってずっと良いことが続いていくというものです。良いことの循環を起こして、「Giftの輪」のようなものが広がっていくといいなと思っていて。
haru: きっと、ちょっとしたことでいいんですよね。(私もやってみよう!)
mayu: (笑顔で)はい!ぜひぜひ。
インタビュー後記
今回は、私編集長haruのよき相談相手であり、お母さんのような存在でもあり、大親友のmayuさんにインタビューをさせてもらいました。自分も含めたみんながしあわせになるってすてきですね。
小さい頃のお母さんのなにげない一言はmayuさんの中にしっかりと残っていて、人の悪い面ではなく良い面をみようと思ってこられたのかもしれないですね。私自身も、「haruちゃんはここがすてきだよ!」ってmayuさんに言ってもらえていつも嬉しい気持ちになっています。私もGiftリレー、やっていきます。みなさんも、ぜひトライしてみてください🌸
編集長 haru