助産師 / 原田 比呂己さん「今あるいのちは、当たり前のものじゃない」《後編》
2019/02/02
インタビュー polaris for YOURSELF vol.4
助産師 / 原田 比呂己さん
「今あるいのちは、当たり前のものじゃない」
《後編》
自分の生きる上での指針やポリシー、「ポラリス(=北極星)」を持つ人たちのインタビュー。
今回のインタビューでは、助産師の原田 比呂己(ひろみ)さんをお迎えして、助産師としての毎日や、助産師として伝えたいメッセージについてお話いただきました。前編では、比呂己さんが助産師を志したきっかけや、助産師になってからの日々について話してもらいました。
とってもキュートでチャーミングな比呂己さん❤︎ いろんなお話が飛び出します。
それでは、後編をスタートします♪
お父さんが教えてくれたこと、今あるいのちは、当たり前のものじゃない。
haru: 助産師として仕事をしていく中でも、ターニングポイントになるような出来事はありましたか。
hiromi: 勤めてた病院でずっと働き続けて、彼氏ができて、結婚してって普通に過ごしていくんだろうなーと思っていたんですが、
私が24歳のときに父が亡くなって。原因はわからなかったんですが、たぶん脳内出血…。寝て起きたら亡くなっていました。
haru: そうなんだ……。
aki: …お父さんに最後に会ったのはいつ?
hiromi: 亡くなる2週間くらい前。私は一人暮らしをしていたので、実家にもあまり帰ることが少なかったのですが、
父の日と母の日のプレゼントとして、マッサージ機を贈った日。
haru: その日が最後だったんだね…。ショックだったでしょう…。お父さんのことは大好きだった?
hiromi: ちっちゃいときはずっとお父さん子でお父さんと結婚する!と言っていたくらいだったんですが
私、中学くらいからずっとお父さんのことがだいっきらいでした。実は父は仕事をリストラされてその後は家にいたんです。
父が働いていないという現状を理解し始めた時から「お父さんまじちゃんと働いてよ、いつまで家にいるの」みたいな感じで…。
その後もお互いに和解はしたいけど、素直になれないから和解できなくて…。
マッサージ機を贈った日、父はすごく嬉しそうにしてて。これ、使っていいんか。みたいな。
aki: 笑顔が最後だったんだ。それはよかったね。
haru: 泣ける〜あかん〜(←泣く)
hiromi: 笑!
haru: そうやって元気だったひとが急に亡くなっちゃう…。ひろみさんはどんなことを思ったのかな。
hiromi: 生きてることが当たり前じゃないっていうことを強く強く感じました。お父さんが教えてくれたんですね。
それ以来、「今あるいのちは、当たり前のものじゃない」ということが、私のポラリスになりました。
haru: ブログに、6月29日があったから、今の自分があるって書いたけど…。
hiromi: そう、お父さんの命日です。
haru: 悲しい日っていうか、刻んでおきたい日という感じなんでしょうか。
hiromi: そうです。そんな感じ。自分にしか経験できない経験をしたからこそ、これからなにか伝えていかないといけないことがあるんじゃないかなと思っっていました。
トークライブの企画、出逢った人達
hiromi: 実は、そのタイミングで、作家の高橋歩さんのトークライブを私が企画することにとなりました。
私自身は、看護の世界しか知らなかったし、無理やりにでも、世界を広げないとやっていけないという状態だったんですが、
出会う人みんな、初対面だけど優しくしてくれて。必死に集客のお手伝いをしてくれたりとか。
いい人たちって、私の知らない世界にこんなにいるんだなと思いました。
そして、このトークライブが無事にが終わったらそのあとも、絶対にいいひとたちに出会える!と確信みたいなものがありました。
同時期の当時、「うまれる、ずっといっしょ」っていう自主上映の映画があったんです。
「うまれる、ずっといっしょ」はお産のシーンが多い映画で、家族のあり方みたいなものをテーマにしています。
私は、たまたまその自主上映の映画を観に行ったんですが、以来「うまれる、ずっといっしょ」の自主上映をすることで
命の大切さについて伝えられるんじゃないかと思っていました。でも一人では絶対にできないと思っていたんです。
でも、このトークライブの企画が終わったら一緒にやっていける人に絶対に出会う!と思い込んだんですが、
そしたらほんとうに出会って。
その人がわたしの人生を変えてくれた人でした。
人との出逢いで人生は変わっていく
hiromi: 歩さんのトークライブをして、お礼のメールが1通だけきました。そのメールを送ってくださった方がその後、
活動を共にするかけがえのない仲間になった、さなさんです。(haru注:ポラリス ア・ラ・モードのライターのsanaさんとは別の方です❤︎でも偶然の一致ですごい❤︎)
大好きなさなさん❤︎
さなさんは、作業療法士といって小児のリハビリをしているひとで、妊婦さんでした。
彼女も、高橋歩さんに人生を変えてもらった一人で、旦那さんを歩さんのトークライブに連れてきたいって言って連れてきて。
それはあなたが主催してなかったら来れてなかったから本当にありがとうって言ってくれたんです。
私は、誰かの何かのきっかけになればいいなと思って歩さんのトークライブを企画したから、それがすごくうれしくかったです。
さなさん。このひととだったらさっきお話した映画の自主上映を一緒にできるかもしれないと
実際にお会いする前から、直感でそう思っていて、映画のチラシをカバンに入れて会いに行きました。
そして、初対面の時に「すいませーん。この映画の上映、一緒にしてくれませんか。」ていきなり言いました。(笑)
aki: さなさんの反応は?
hiromi: えっ、わたし妊婦なんだけど。みたいに言われました(笑)…ですよね(笑)
でも、カレンダー出してもらって。私は助産師だから、おそらくこの時期くらいに生まれるから、きっとこのくらいのタイミングではイベント一緒にできますよ、と分かってお話していくことができました。そこから、一緒に活動しています。
haru: まさに、ひろみさんが助産師さんで、さなさんが妊婦さんだったからこそ実現したコラボレーションだったんですね。
あたらしい、いのちの授業をしたい
haru: その映画の上映以外にもされている活動、20代の女性に向けた「いのちのカタリバ」は改めて、どんなイベントですか。
hiromi: なんか、新しいいのちの授業みたいなのをしたくて。
構成としては基本的には私がなんでこういう活動をやっているかという経緯を説明して、そこからはみんなでディスカッションのようなことをしています。
いのちの授業といえば、今でいうと性教育みたいなのが多くて、性感染症や避妊をテーマにしているとか。
私自身、そういうテーマのイベントに参加したこともあったんですが、そういう話より、みんながぐっと食いつくのって自分が生まれてきたその感じとかなんですよね。
私はそういうことをテーマにしたい。
女の人だと、出産してはじめて親の偉大さに気づくということもありますし、
そのタイミングで「私もこうやって生まれてきたんだな」って改めて感じるかもしれないですが、
そのタイミングそうしたことを考えるというのが、遅い時もあると思うんですよね。
妊娠する前。高校生・大学生や20代からいのちの大切さや
生きていることは当たり前じゃないよと気づいたら、もっと人生変わるなって思っていて。
私は女性がもっと輝けば社会って変わるし、世界平和とかそういうところまで行くんじゃないかと思っていて。
そのために助産師として自分は何ができるかなと思っていて。
「いのちの大切さ」や「生まれてきたことが当たり前じゃなくて、今生きていることってほんとうに奇跡だから自分のいのちを大切にしてね」って、助産師だからこそ伝えられる!って思っています。
haru: 実際にやってみてどんな声がありましたか。
hiromi: 出産のシーンをはじめてみた子たちからは、自分たちはこうやって生まれてきたんだなとか、いのちを大事にしようと思ったとか、自分の人生をちゃんと考えないとかと思ったというご感想をいただきました。
aki: 今は20代の女性が対象だけど、中学生や高校生にも話していきたいと思う?
hiromi: 高校生くらいはしたい。でも、中絶数がめちゃくちゃ多いのは20代で、その年代が一番リアルに聞いていただける年代だと感じています。
きっと、自分ごととして落とせると思うから。中学生はまだまだこれからなんだってできる!という夢見るような状態で、
高校生になればようやく地に足つけて考え始めるようになると思っていて。
だからこうしたテーマで話すなら、高校生くらいからかなって思っています。
haru: そうなんですね。
ひろみさんが、これからこういうことをやっていきたいということはありますか。
hiromi: 今はいのちのカタリバはマックスでも10人くらいで開催しているんですが、
その規模も内容もきっと変わっていくんだろうなと思います。
私も結婚して家族を作っていくと、その先では伝えられることも変わっていくと思います。
haru: うん、きっとそうですよね。
hiromi: 私自身は実はパートナーシップはめちゃ苦手なんで(笑)今年の目標はパートナーシップを築くことなんです❤︎
haru: いいね、いいね❤︎
hiromi: 自分を大事にすること。そして、自分を大事にできるからこそ、ひとのことも大事にできるということ。
そういう誰もが知ってそうだけど教えてくれないことを伝えていきたい。
できれば、その一回だけで終わるんじゃなくて、継続してその人が自分らしく生きていけるように見守っていけるような何かを考えていきたいと思っています。
haru: ほんとに素敵!応援したいし、ぜひなにか一緒にできたらいいね。ひろみさん、ありがとうございました。